躾(しつけ)とは?

躾(しつけ)の定義

躾(しつけ)とは、守ることを決め、決めたことを守る、習慣・風土を作ることです。3Sが習慣化し、企業風土となっている状態です。

全社一丸での行動が企業風土を育てる

弊社は3Sの徹底によって、確かに黒字回復を遂げることができました。しかしそれはあくまでも副次的な産物だと考えています。では、3Sの最大の成果とは何か?それは社員の心が一丸となってまとまったことでした。

ただ経営理念を掲げて唱和するだけでは、社員の心は決してまとまりません。人は面従腹背する動物です。本人は何もわかっていなくても、わかったような顔ができるのです。多くの経営者が、社員をまとめる時に、このことに苦労しています。どうしたら共通の理念のもと、社員が行動してくれるようになるのか。

そのために有効な方法は、「一緒に行動をすること」です。それは、弊社の場合は毎朝10分間の床掃除でした。

弊社でももちろん、3S活動に取り組む以前から掃除は行なっていました。ただしそれは各自の裁量に任せっぱなしにしていたものでした。

一緒に掃除をやってみると、興味深い変化が起きました。それまでまちまちだった3S活動への熱意が、その時だけはそろうのです。もちろん、熱心にやっているのは表面だけで「やらされている」という思いの社員もいたでしょう。しかし、みんなが一生懸命になって掃除に取り組んでいますから、少なくともその場では頑張るしかありません。

10分間掃除を終えるとゴミひとつなくなり、場の雰囲気が変わるのです。掃除をすると、清々しい気が漂います。このように毎朝みんなで同じ体験をして、同じ達成感を味わうことで、社員の心のベクトルが同じ方向を向き始めるのです。


社員に経営者の思いを理解してもらうためには、口でいくら説明してもダメなのです。一緒に行動すること。それが価値観を共有するために、大変有効な手段なのだと3S活動に取り組むことで気付きました。

このような考え方から、弊社に工場見学に訪れた方にも一緒に掃除を体験して頂いています。若手社員も取締役クラスの方々も、みんな一緒に雑巾を持って拭き掃除をします。体験を通じて、弊社の取り組んでいる3S活動の本質を感じていただいているのです。